【幸せを目的にした政策】03.個別政策の問題点 (8)防衛関係

7月 31st, 2012 No Comments »

防衛関係の支出は4.8兆円で、国民1人当り38千円、1世帯当り93千円です。

1%未満の減少が継続しているものの、支出額には大きな変化はありません。

 日本の防衛政策は、1957年に国防会議と閣議で決定された「国防の基本方針」にその基礎を置いています。この「国防の基本方針」においては、国防の目的は、直接および間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにあるとしています。

 この「国防の基本方針」を受けて、憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備していくことが防衛の基本政策です。

 基本方針・政策が不変なので予算も変わらないのは、一見合理性がありますが、それゆえ聖域となり、使途の精査が成されないおそれがあります。費用対効果をどう考えるのか、ルールを明確にし、公共事業と同じく必要なものは国民に信を問うべきかと思います。

 また基本方針・政策がこのままでよいのかということも、世界における日本という国のあり方を踏まえ、国民全体で討議すべきことかと思います。

【幸せを目的にした政策】03.個別政策の問題点 (7)科学技術関係

7月 27th, 2012 No Comments »

科学技術の振興のための助成金等に1.3兆円が使われています。これに国立大学の運営費交付金・私立助成等のうち科学技術関係、科学技術を用いた新たな事業化の取組、新技術の実社会での実証試験、既存技術の実社会での普及促進の取組等に必要な経費を加えた、科学技術関係予算は3.7兆円となります。

これは、国民1人当り29千円、1世帯当り71千円です。予想以上に少ない金額です。

 科学技術関係は、国家予算の中で最も戦略的に考え、より多くの投資すべき領域ではなないでしょうか。民間企業の売上高に対する研究開発費は、経産省の「企業活動基本調査」によれば3.48%です。科学技術の振興のための助成金等の3.7兆円という金額は、国の売上高とも言えるGDP(2011年度で507.5兆円)に対して、僅かに0.73%です。

 国の役割、民間企業の役割がありますので一概に言えませんが、国としての方向性を示唆すべき変極点の数字としては、あまりにも低い気がします。

日本の強み、弱みの分析を行い、世界における貢献領域を定義し、(自由・競争主義を是とすれば)競争優位性を実現するために、同領域に官民共同で戦略的投資を行なうべきかと思います。

 日本の社会が成熟し、これまで日本の成長を支えてきた、もの作り技術は、韓国、台湾などにキャッチアップされています。また生産技術の若干の高さを持ってしても、人件費の安い中国や東南アジアには敵わない今、世界に貢献できる領域に、おそらく数倍規模の戦略的投資が求められる状況ではないかと推察します。

【幸せを目的にした政策】03.個別政策の問題点 (6)文教

7月 26th, 2012 No Comments »

文教の主たる支出は、教育振興助成金(教科書の配布や国立大学法人・私立学校の援助のための助成金)が2.4兆円、義務教育費国庫負担金(公立小中学校の先生の給与の支払)が1.6兆円で、両方合わせた数字は、国民1人当り32千円、1世帯当り77千円となります。

教育振興助成金、義務教育費国庫負担金にも無駄があるとは思いますが、重要なのはその中身です。専門分野の知識も然ることながら、社会を変革するリーダーの養成や、グローバルで活躍するための知識や意欲の醸成など、社会が求める人財を養成する戦略が必要です。

 ゆとり教育、ダンス必修など(意図はあるかも知れないが)本質からずれた努力でなく、日本というコミュニティの世界のおける貢献領域を明確に定義し、必要なスキルを拡充するための文教戦略が重要かと思います。

【幸せを目的にした政策】03.個別政策の問題点 (5)公共事業

7月 25th, 2012 No Comments »

公共事業関係の支出は5.9兆円で、国民1人当り47千円、1世帯当り114千円です。

公共事業関係費は、2000年のピーク時は、当初予算が9.4兆円でしたが、以降一貫して削減が進められて来ました。

 この大幅な削減の中で、我々が不便を感じたかというとそうでもないでしょう。人口が増えない成熟社会における社会資本整備のあり方を今後も継続して検討し、質の向上に努めるべきと思います。

 公共事業の主たるものは、治水、道路整備、港湾整備、空港整備ですが、各項目について内容を精査すべきです。その精査の仕組みにおける効果試算は、科学的に積み上げられるものではなく、主観的な判断が必要となります。

 それゆえ、巨額の投資、或いは一部住民の利益のための投資は、国民の信を問うべきものかと思います。そうすることにより、国民としては承諾できないが、県として、町として、必要最低限のものに取り組む等の、当たり前の判断が可能になるように思います。

【幸せを目的にした政策】03.個別政策の問題点 (4)福祉その他

7月 24th, 2012 No Comments »

福祉その他の支出は8.8兆円、国民1人当り70千円、1世帯当り170千円です。

その中で、大きな割合を占めるのが、生活保護です。生活保護支給の予算は3.7兆円で、国民1人当り29千円、1世帯当り71千円となっています。

 生活保護受給者は、2011年11月で207万人、世帯数で151万世帯だそうです。

厚生労働省が決める生活保護基準によると、東京在住の標準3人世帯で見た場合、167,170円に、家賃扶助額上限69,800円を加算すると、236,970円が最低生活費となります。年間で284万円です。これを年収に換算すれば320万円程度になります。

つまり年収がこの金額を下回るのであれば、働かない方がよいということになります。あるいはこの金額より若干上回る程度であれば、働く意欲は湧かないでしょう。

 別の観点で捉えると、東京在住の単身者は、家賃込みで月額 137,400円の生活保護費が支給されます。生活保護が認定されると、教育、医療、出産、介護、葬祭などは無料となります。一方、最低労働賃金は、約800円×8時間×20日間=約128,000円となります。税金、健康保険税(料)、国民健康保険を引くと月額 87,300円です。現在就業している人達の中で、生活保護を受けた方が得な人は、10%程度いると推察されます。

 本当に生活保護を受けるに値する人に支給されるのは当たり前ですが、一生懸命働いている人の意欲をそぐ現状のばら撒き政策には反対です。年金といい、生活保護といい、歳入以上のお金をばら撒き、人気を取り、自らの存在意義、雇用、利権を確保し、そのつけは一生懸命頑張ろうとする人達に増税という形で回す。今の政治、官僚、それを応援するマスコミに憤りを感じます。