08.企業の寿命
企業にも寿命があります。日経が公表しているCASMAという企業評価指標の分析結果を見ると、日本企業の平均年齢は50歳であり、年齢が上昇するにつれて評価は下がります。
企業も人と同じく寿命があり、ボストンコンサルティングのフレームワークを用いると、「問題児→スター→キャッシュを生む牛→お払い箱」という順番になります。現在の大企業は、戦後まもなく生まれた会社が多く、ちょうど50歳から60歳という年齢です。
企業が年を取るのは当たり前のことです。人の未充足ニーズに着目し、幸せを作ろうと決起して会社を興し、頑張って、成長させます。そうすると多くの会社がそのビジネスに参入し、競争が激しくなり価格が下がり、人にとっては当たり前の幸せとなります。その結果、企業の存在意義は薄れ、利益が下がり、お払い箱になるという宿命です。
お払い箱になる前に、自分の会社の、社会における強みを定義して、その強みを活かす新たな幸せを作ろうと努力をしていれば、問題児からスターになるビジネスも現れるのですが、日本企業各社とも、「モノづくりは誰にも負けない。」、「世界第二位の経済大国」、「品質には自信がある」など、自分だけは年を取らないと思っていたようです。
また新たな幸せを作ろうという努力も、「強み」を定義した結果ではなく、工場できれいな水を使っているからワサビでも作ってみるかとか、情報システムが伸びるようだから情報システムでもやるかと言った、浅はかな考えが多く、成功確率は決して高くありません。
また会社の規模の追求が生き残る道だと勘違いし、M&Aを仕掛けている会社もあります。企業は、幸せを作るための分業の“場”であり、異なる幸せを作る“場”の人と、単純に一緒になっただけでは、社会の幸せは増えません。一緒になることで、「少ない苦労で」、或いは、単純な合算より「より大きな幸せ」が作れないと、M&Aの意味はありません。企業は規模ではないのです。
日本企業の多くが、気づかぬ間に「お払い箱」に入ったことを知り、どうすればいいのかと頭を抱えているのが、今の実情です。