【幸せを目的にした政策】04.政治問題の本質 (2)コミュニティの運営体制

「国というコミュニティに何を期待するか?」という問いかけに対応して、日本という国の果たすべき役割を定義したら、次はその運営の仕組みを設計することが必要です。

 どの分業のコミュニティでも同じですが、社会に対する提供価値候補毎に、代替コミュニティ(この場合、他国、地方自治体、企業など)と比較した強み、弱みを分析し、自分達の役割を再定義します。これは省庁や官僚の仕事ではなく、政府を中心に案を作成し、国民全体で討議、決定すべきことです。

 そしてその価値を提供するための国、地方自治体、民間を交えたバリューチェーン、業務プロセスを設計し、政府・省庁の組織を作ります。現状の行政機関の組織体制や、縦割りプロセスなどは、一旦無いものとしてゼロベースで考えるべきです。

 次に人事制度の設計です。公務員が、団体交渉権がないのと引き換えに特別な地位を保障されるというのは納得がいきません。団体交渉権がなくとも民間企業と同じく、入社退職が自由に成されるべきであり、また透明性を持ちフェアに人事評価が成されるべきです。

 また企業は搾取する側、従業員は搾取される側、労働者は弱いという、産業革命直後の社会を反映した労働関係法案はゼロベースで見直し、個人は自由に分業の場を選べ、企業も自由な働く形態を提供し、働く人と相互納得する契約を自由に締結できるようにすべきではないでしょうか?その適用は民間も公務員も同じであり、異なるものにする必要性を感じません。

 更には、公共サービスに対するKPI(Key Performance Indicator)の設定、そのKPIを中心としたPDCAプロセス、ナレッジマネジメント、組織横断的なプロジェクトチームの編成、チェンジリーダーの育成・活用など、民間企業と同じく、コミュニティを運営するために必要なマネジメントシステムも設計、導入すべきです。

 ちなみに、現状のように年度の予算が振り分けられ、サービスの有効性、効率性を考えることなく、予算執行の権化と化す仕組みは廃止し、各組織は独立したSBU (Strategic Business Unit)としてKPIで評価されるべきだと思います。そうすれば、予算の取り合い、予算を取った人がえらい、一旦予算を取っても余らせてしまうと次年度削減されるなど、常軌を逸した行動がなくなるのではないでしょうか。より効果的、効率的に運営できたSBUは、株主たる国民より褒められ、ボーナスを提供されるということも有り得る組織評価の仕組みかと思います。

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