【幸せを目的にした政策】02.日本というコミュニティの収支
先回お話した、2012年度の当初予算の純計ベースでの歳出220.3兆円をブレークダウンしたのが以下の図です。
220.3兆円という金額は、国民1人当りに換算すると1,743千円、1世帯当り平均ですと4,249千円となります。つまりこの金額を我々国民は、日本というコミュニティの運営者に預けて、同運営者からサービスを購入していることになります。
企業の税金も歳入としてあるので実態はもっと少ないと言われるかも知れませんが、企業は実態のない虚像であり、企業も株主、従業員などの人から構成されている訳ですから、国民1人当りが負担しているということに、大きな間違いはありません。
これらの多くは、給与として支払われる前に徴収されていたり、財・サービスを市場で購入する際に料金上乗せの形で徴収されているので、実感がないだけです。仮に、コミュニティの運営者(公共機関)にこれらのサービスをお願いせず、民間に任せたとすると、借金の返済分を除いて、国民1人当り1,092千円、1世帯当り2,662千円の所得が増えることになります。そして、各個人の判断で、企業が提供する様々なサービスを比較して、購入するかどうか決められることになります。
その結果、救うべき弱者が救えない、社会の幸せの総和が下がってしまう場合には、クラウドファンディングのような民間の助け合や社会貢献の場を優先させて自主的課題解決を行い、それでも課題が解決しない場合に、国、地方自治体などが介在する意義が出てくるということです。この原則を忘れて、大昔に誰かが決めたルールに基づき、公務員の既得権益となっているのが現状ではないでしょうか?
2012年度国家当初予算には、26.9兆円の公務員の人件費が含まれます。週刊ポスト2012年3月16日号によれば、民間サラリーマンの平均給与が412万円なのに対して、国家公務員の諸手当を含む平均年収は809万円だそうです。これに加えて格安の官舎、また一部の公務員には天下り先が用意されているのです。
次に、もう少し詳しく予算の内訳を見てみましょう。
支出の中で、最も大きいのが借金の返済で37%です。平均的1世帯当り1,586千円にもなります。成熟した市場で経済成長が望めないにもかかわらず、無策の政治により支出は切り詰めず、これだけの赤字を作ってしまいました。
この借金返済のため、国民に負担をさせようというのが消費税の増税です。消費税5%アップによる増税額は13.5兆円と試算されています。これは焼け石に水で本末転倒、今やるべきことは支出の大幅削減であることは、お分かりの通りです。
ではどの支出を切り詰めるべきか?支出額の大きい順に、年金、医療費、地方自治体への援助、国が行なう特定目的への貸付、福祉その他、その他事項経費、公共事業関係、文教及び科学振興、防衛関係と続きます。我々は、これらのサービスを受け取る対価として、負担額が納得できるのかどうかを判断しなければなりません。また代替策として、民間に任すというオプションがあることも考慮に入れるべきです。
次回以降は、構成比の高い、年金、医療、福祉その他、公共事業関係、文教及び科学振興、防衛関係と、問題が大きい食料安定供給関係の中身を見てゆきたいと思います。