【社会と企業】06.日本のルール(株主)

現状の日本の企業を取り巻く環境は、自由・競争主義と、株主資本主義によって、細かなルールが制定されています。企業は誰のものか?という質問をすると、多くの場合、株主のものであると言う回答が帰ってきます。では株主とは誰でしょうか?

平成22年度末の日本の上場企業の株主構成は、金融機関30%、外国法人27%、事業法人21%、証券会社2%、政府0.3%の非個人合計80%。個人は20%です。

金融機関、国内外の事業法人の株主は、また金融機関、国内外の事業法人と、連鎖が続きます。会社は“場”であり実体が無いものなので、最終的には、 どこかに住んでいる特定の個人となるはずです。その特定の個人は自分が直接投資をした先ならまだしも、その会社が保有している先の経営、またその先など何 の関心もありません。つまり、企業が株主のものであるならば、平均的な上場企業は、金融機関、国内外の事業法人のものとなり、彼らを主として、意に沿うべ く苦労をしていることになります。おかしくないですか?

本来はどうあるべきか?例によって、自給自足から二歩進めた、お金が発明された初期の分業社会に戻ってみましょう。苦労して捕ってきた魚の対価とし てもらった野菜ですが、一度に沢山もらっても腐ってしまうので、それをお金に代えて将来の幸せを得る権利として貯蓄しておきます。もっと貯まると別の人に 貸して、後で利子をつけて返してもらう約束をします。さらに進化すると、貸したお金で別の人が儲けた場合は、利子だけでなく、その人の儲けのあるパーセン テージをもらう約束を交わすことができる社会となります。

この時代では、まだ自分の苦労がどのように使われるのか見えていたはずです。実労働をしない人が投機的売買により利益を上げることは、社会にとって 許されることでしょうか?経済学者は、市場を流動化する必要悪とみなしていますが、この必要悪が、サブプライムローン、リーマンショック、AIJなどの問 題を立て続けに起こしています。

また生命保険会社は契約者が社員(株式会社の株主の位置付け)である相互会社という形態を取ってきましたが、金融規制緩和を契機に、株式会社化する 企業が相次ぎました。相互会社は相互会社で市場の脅威にさらされず、ガバナンス上の問題が大きいと言われていますが、株式会社化しても、では株主は誰かと いうと実態は金融機関、国内外の事業法人です。個人がより直接的に関与して、企業経営のガバナンスを効かせる、幸せの権利の預託の仕組みはないのでしょう か?

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